【授業風景から】5月下旬から6月上旬にかけて(その2)
前回の続きです。今回は4年から6年までの標記の時期の授業風景をお届けします。
◆4年
教室を順次廻っていると図工室方面から何やら「熱気」が感じられたため、ふらふらっと入ってみました。 入った瞬間、子どもたちの独創性あふれる作品に圧倒されました。
私たちの身近にある樹木を画用紙の上に表そうと、それぞれ描いた下絵の上に専用の粘り気のあるペンキを垂らすことで、立体感(子どもたちにイメージしやすい言葉として、指導者は「もこもこ感」を用いました)あふれる作品が仕上がりました。
一方の2組は社会科の学習として、私たちの生活の基盤(インフラ)として欠かすことのできない「水」を取り上げ、特に上水道に着目し、水はどこから来るのか、それぞれの思いを表出し合う学習に取り組んでいました。
指導の妙が見られたのは、担任が予め学校内の水道管などを画像に収め、それを子どもたちに提示するシーンでした。「あ、水道管!」、「ここからこう伝わって、ぼくたちの学級のベランダにある手洗い場に水が来るんだよ!」など、身近な例に子どもたちの興味・関心が喚起された一コマでした。
◆5年
デジタルとアナログの融合ーーーと言えば何だか仰々しく聞こえますが、この日の1組の書写の時間、指導者の実践に光るものを見ました。
それは、タブレット端末を机上に置いた子どもたちが、画面を見ながら一筆ごとの起筆、運筆、終筆を確認して自分の作品を仕上げていったことです。
指導者の適切なアドバイスが子どもたちに与えられます。デジタルによる「気づき」と、人の目による「肯定的な声掛け」の両者が、子どもたちのやる気を支えます。
タブレット端末をはじめとするICT機器活用法の一つに「他者参照(他の人の考えや作品を観て自分の向上に役立てること)」があります。電子黒板で全員の作品を閲覧することで、一人一人の技能の向上につなげようとする指導者の意図が見られました。
一方の2組は、道徳の時間に「公平・公正」について考える学習に臨んでいました。
登場人物の「ぼく」ともう一人の少年は、やはり友達のヨースケ君の人のよさに乗じて、人からたしなめられるぎりぎりの行為を彼に対して続けていました。のちに、そのことがどうだったのか自省する「ぼく」・・・
困った顔をしている時のヨースケの気持ちや、独りでいるヨースケを見た時のぼくの気持ちなどを、子どもたちが素直に発言していきました。
最後に、この時間にそれぞれが抱いた道徳的な価値を「振り返り」として、可視化してタブレット端末内のソフトに入力します。
それぞれの考えが瞬時に電子黒板の画面に投影されました。個人のタブレットの画面にも同じものが投影されているので、個々で類似の考えをまとめたり、整理して分けたりすることも可能です。
ここにも一つ、これから求められる授業のあり方を見たような気がしました。
◆6年
1組は算数の学習で、計算ドリルを終えた後でしょうか。担任から学習にまつわるクイズが出題され、真剣に考え次々に反応していく姿が見られました。
後日、1組の授業風景はもう少し詳しくお伝えします。
2組は総合的な学習の時間として、今年度一年間をかけて取り組む「平和学習」に取り組んでいるところでした。
大谷翔平選手がかつて高校生の時に目標達成のために用いた思考ツール「マンダラ」をこの活動に取り入れ、、子どもたちの発想の広がりを大切にした取組が展開されていました。
画面真ん中の9コマの枠をご覧ください。ど真ん中に「平和」の文字が書かれ、周囲を一人一人の子がそれぞれ思いついたワードで埋めていきます。
それぞれのワードは、用紙の外側8か所に配置されたの9コマのブロックの真ん中に置いていきます。
さらにそれぞれの9コマを同じように埋めていくことで、一つの単語「平和」から、関連する言葉が次々と広がっていきました。
自分たちで出した思考の広がりの中で、調べ活動を進めていきたいことについて的を絞り、今後、自発的な探究活動が展開されていくことでしょう。
今後、2学期の修学旅行で平和の尊さを広島の地で実感したり、世界を構成する一人の人間として、自分には何ができるのか、何をすべきか考えていく活動を続けたりします。